中国系オープンウェイトモデルの台頭を数字で見る

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2024年末には全トークンの2%未満だった中国製オープンウェイトモデルが、2026年8月にはOpenRouterの利用上位を占めるまでになった。感覚的な印象ではなく、実測できる形で構図が変わっている。

OpenRouter という指標

OpenRouterは400以上のモデルを横断して利用できるLLMルーターである。ユーザー数は約800万人とされ、週次のトークン消費ランキングが、開発者が実際に何を使っているかを測る事実上の業界指標になっている。

公開ベンチマークの順位と、実際に使われている量は一致しない。前者は能力、後者は能力と価格と可用性の総合結果だからだ。後者を見るほうが実務の判断に近い。

プロバイダ別のシェア

2026年8月16日時点の日次トークンの概算は次のとおりである。

プロバイダ日次トークンの概算シェア
DeepSeek約36%
Tencent約14%
Anthropic約10%
OpenAI約8%
Xiaomi約7%

上位5社のうち3社が中国系である。DeepSeek単独で3分の1を超えている。ただしこれはOpenRouter経由の利用に限った数字であり、各社のAPIを直接叩いている分は含まれない点に注意が必要だ。

主要モデル

2026年に入ってから、DeepSeek V4、Qwen 3.7 Max、Kimi K2.6、MiniMax M3が立て続けに登場した。夏にはDeepSeek V4 Pro、Kimi K3、MiniMax H3、DeepSeek V4 Flashが同じ波で出ている。共通するのは、全モデルがMoE(Mixture of Experts)構成を採っていることだ。

同じ時期に、同じアーキテクチャの選択が横並びになっている。偶然ではなく、コスト構造からの要請である。

この数字の読み方

シェアが高いことは、品質が最高であることを意味しない。価格が安く、制約が少なく、すぐ試せることの結果でもある。開発者は最も賢いモデルを選ぶのではなく、要件を満たす中で最も条件のよいものを選ぶ。

次回は、なぜこれだけ安くできたのかという原価の側を扱う。

シェアの数字を鵜呑みにしない

OpenRouter経由の数字は有用だが、母集団を理解して使う必要がある。OpenRouterを使うのは、複数モデルを比較したい開発者や、単価に敏感な用途である。企業が各社のAPIを直接契約して使っている分は含まれない。

したがってこの数字は「価格と可用性に敏感な開発者層における選択」を表している。企業の本番システムでの採用状況とは別の指標だ。両者を混同すると、判断を誤る。

何が起きているのかの整理

時期中国製オープンウェイトの位置
2024年末全トークンの2%未満
2026年8月OpenRouter利用の上位を占める

二年足らずでこの変化が起きた。速度そのものが示唆的である。重みが公開されていれば、第三者のホスティング事業者が即座に提供を開始でき、利用者は契約を待たずに試せる。普及の摩擦が小さい。

日本の事業者としての向き合い方

シェアが高いからといって採用する理由にはならないが、無視する理由にもならない。確認すべきは三点だ。自社の用途で品質が足りるか、扱うデータの法域要件を満たせるか、そして条件が変わったときに移行できるか。

特に三点目が重要になる。オープンウェイトであれば、原理的にはセルフホストへ移行できる。その退路があるかどうかが、価格交渉や条件変更に対する耐性を決める。

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